熊崎真優さん Mahiro Kumazaki
- ロボコン事務局 ROBOCON Secretariat
- 2025年8月7日
- 読了時間: 8分
〈プロフィール〉
Dチーム マシン班リーダー・デザイン班兼務
愛媛県松山市在住。香川高専時代には高専ロボコンで活躍した。2022年、全国大会出場。スピーディな装填操作と高い射出精度、反動対策、衝撃吸収設計という高度な機体で注目を集めた。
今回、特別な思いを持ってXROBOCONに参加している。

再起の舞台はXROBOCON
――――XROBOCONに参加したきっかけを教えてください。
僕は香川高専の高松キャンパスの出身で、高専ロボコンをやっていたのがきっかけです。でも、ちょっとそこで色々あって2023年の地区大会の途中でチームを外れちゃったんです。そのまま学校も辞めることになってしまって。香川高専は四国では強豪校で、僕が在籍していた当時、8年連続の全国大会出場記録を持っていたんですよ。けれど、2023年に自分が途中抜けした年に連覇が途切れちゃったんです。だから、なんだか自分の中にすごく思い残しがあって。そんな気持ちのまま翌年2024年の高専ロボコンのライブ配信を見ていたら、最後にXROBOCONの広報が流れてきたんです。その時に「おお!これはやってみるしかないぞ!!」と即エントリーを決めました。何人か高専時代のチームメンバーにも話したら、一緒にやろうと乗ってくれて。そんな経緯があって、XROBOCONは僕にとっては、もう一度ロボコンに真剣に打ち込むチャンスなんです。
――――熊崎さんはチームでも中心メンバーとして活躍されているとうかがいました。背景にはそんな強い思いがあったんですね。
そうなんです、チームでも色んなことをやらせてもらっています。Dチームはマシン班、回路・制御班(プログラミング班)、バーチャル班、デザイン班の4つに分かれて活動しているんですが、みんな住んでいる場所がバラバラなので班ごとにオンライン会議で進めています。僕はマシン班のリーダーをやりつつデザイン班にも顔を出させてもらってます。それから各班の取りまとめもやっています。だいたい週3でオンライン会議が入ります(笑)。
――――えー、大変じゃないですか!?
忙しいですが、他のメンバーよりか僕は時間があると思うので、自分から引き受けました。今の仕事は実家の建設業の手伝いなので、割と時間の調整はしやすいんです。
でも、他の皆さんの時間の使い方はすごいんですよ。忙しい社会人、学生さんのはずなのに、毎週コンスタントに進捗情報をあげて下さるのでビックリしちゃいます。週末にこれをするために、平日には何をすればいいか、とかすごい緻密に計画を立ててやっていて。長期目標に向かって綿密に計画を立てていくのもDチームの特徴だと思います。
17人で起こす「ダイバース革命」
――――XROBOCONの中で一番楽しい仕事はなんですか?
本業はマシン班なんですが、顔を出させてもらっているデザイン班の仕事が面白いんです。うちのデザイン班は他のチームと比べても特徴的だと思うのですが、本番のチームモニターのデザイン以外にも、広報的な活動など全般を担っているんです。その中で、チームに合ったテーマをアテンドしていくっていう作業がとても楽しいです。
例えばチーム名を決めるのも、デザイン班の仕事でした。
他のチームは4月か5月には早々に名前が決まっていたんですが、僕たちだけは「Dチーム」のまま名前が決まらなくて。他のチームはサークルだったり学校だったり、母体となる大きなグループがあるのですが、Dチームは個人の集まりで一貫性がなかったんです(笑)。メンバーは17人ですが、年齢も居住区もバラバラ、仕事もバラバラで通信系、電気系とか機械系、果ては映画監督までいるんですよね。面白そうなので、メンバーの居住地をマッピングしてみたんですよ。けっこう散らばってますよね。

チーム名の候補は、バックグラウンドが幅広い集団の強みを生かした単語をあげて、その中から意味づけをして選び取っていきました。その結果「D:ivers(ダイバース)」になりました。多様性を意味するダイバーシティに加えて、うちのチームは海をテーマにてチームカラーも青にしているのでダイバーの意味もあります。みんなでチームの在り方などのブレストをする過程がとても面白かったですし、よい経験になりました。


――――初対面だった人たちともだいぶ仲良くなってきましたか?
はい、もう。Dチームはみんな仲良し、というか一人ひとりが「これやって下さい」ってちゃんと言えるし、言われるし、そんな組織作りができているなと思います。本来の会議が終わった後に、メンバー同士で深夜1時くらいまで話し込んじゃうこともあって。どこのうどん屋がおいしいとか(笑)。お互いに食べ物屋を紹介しあって、出張の時には行くよ!みたいな(笑)。
でも、その時間がすごく貴重に思えるんですよね。日常生活を普通に送っていただけでは絶対に出会えない人たちだし、いろんなバックグラウンドの人たちとクリエイティビティのある話ができるのは本当に楽しいです。忙しいんですけど、こんな時間は8月の本番で終わってしまうのかと思うと、ちょっと寂しくなってしまいます。大会後も、もちろん関係性は続いていくんでしょうけど、1つの目標に向かって一緒に走る時間は今しかないので。すごく大事にしたい時間ですね。
ロボットに触れないマシン屋の挑戦
――――Dチームはどんなロボットを製作しているんですか?
僕はいわゆるマシン屋なのでXRの部分はあまり詳しくないのですが、マシン的な目でみると、今回の大会はハードなルールだと感じます。まず試合数がめちゃくちゃ多い。ロボット同士がぶつかったり、段差を登ったり、落ちたりすることを考えると、タフなロボットじゃないといけないですよね。なおかつ、オンライン上で少人数で作れるという条件も満たさなければいけない。ちなみに、僕なんて愛媛在住なのでロボットに実際に触れられる機会は、本番までに1回しかないんですよ。そういう色んな条件を検討した結果、けっこう硬派なロボットにいきついたと思っています。
――――硬派とはどういうことですか?
競技課題を達成することを第1目標にした、堅実なロボットという表現ですかね。今回のフィールドは段差のある土俵となっています。段差を登る方法も色々とあって、一気にジャンプするチームもあれば動作を積み上げて確実にのぼっていくチームもあると思います。そんな中、僕たちは相撲も取れる機構を取り入れたロボットになっています。「軽いロボットは段差を登りやすいけど重いロボットは相撲に強い。」というXROBOCONのルールの奥深さが出ていますよね。まずはルールに沿って機能をそろえるというのがDチームの方針です。
――――各チームのカラーや戦略がロボットに現れていて、おもしろいですね!
そうなんです。僕は、ロボット作りって自己表現みたいなところがあると思っているので。作り手がどんな人間なのか現れるものだと思っているんです。だから今回のロボットは、僕ひとりではなくて、チームの世界観が反映されたロボットなんです。
先ほどDチームは「ダイバーシティ」や「海」がコンセプトだと言いましたが、その他にも「ネオフューチャリズム」も表現したいなと思っています。もともと建築関係のワードなんですが、ちょっと未来に寄せたUIデザインとかを考えながらモニターデザインも設計しているので、それに合わせたロボットになっています。あまり話すとネタバレになってしまうので、あとは当日のお楽しみに!みんなで、ミステリアスなDチームを貫こうと話してますので(笑)
――――「ロボットで自己表現する」とはどういうことですか?
ロボット全体の雰囲気はもちろんですが、けっこう細部に個性が現れるんですよ。例えば、ネジとナットの間に入れる“ワッシャー”っていう部品があるのをご存知ですか?ワッシャーを入れるか入れないか、についてはロボコニストは2派に分かれるんですよ。ちなみに僕は“入れる派”なんですけど。
でもDチームは“入れない派”が大半だったので、今回のロボットは入れてないです。コスト面とかいろんな面から取捨選択をしたので、今は自分も納得して入れてないですけど(笑)
僕ひとりだと入れたいですが、今回はチームのロボットなので、その選択がチームらしいと思っています。みんなの思いを入れたロボットだし、僕にとっても特別な思い入れのあるものになりそうです。


20年後も、みんなで観ていたい
――――XROBOCONは20年後のテクノロジーを掲げていますが、20年後はどんな世の中になっていると思いますか?
20年後といえば2045年ですよね。シンギュラリティが起きて、AIが人間を追い越して誰も予測できない領域に踏み込んでいく…と言われてる時代なんですが。それこそ今やっているXRの拡張現実がメジャーになって目の前に簡単に現れるような世界になっているんだろうなと。いや、そんなことはとっくに通り越して、想像がつなかいことが起こっているかもしれないですよね。人間はちゃんと適応できるのかな…とか色々と思うことはあるんですけど。
――――そんな世の中で、熊崎さんはどんなことをしていたいですか?
先ほども、ロボット作りは自己表現みたいなところがある、とお話したのですが、自分はどういう人間で何を目指しているのかをものづくりで表現していきたいなとは思います。何を目標とするのかは、いろんな人と関わっていきながら、その都度バージョンアップしていければと思っています。
ほんとに今回、Dチーム「D:ivers(ダイバース)」で色んなバックグラウンドの人と出会って、自分はこれまで“井の中の蛙”だったなって感じた部分もありますので、このXROBOCONを人生のマイルストーンにできるように頑張ります!
それから、もう1つ夢があって。XROBOCONが20年後も続いていて、第1回のDチームのメンバーと「今年もやっとんなぁ」とか言いながら、みんなで観に行けたらいいなと思っています。





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